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『超時空英雄伝エイリアノイド PART1:神剣激突』考察・感想|別ジャンルが混じり合って、新しい映画になっていく(ネタバレなし)

『超時空英雄伝エイリアノイド PART1:神剣激突』考察・感想|別ジャンルが混じり合って、新しい映画になっていく(ネタバレなし)

監督 チェ・ドンフン

主演 リュ・ジュンヨル、キム・ウビン

製作年 2022年

上映時間 142分

ジャンル アクション / SF / ファンタジー


※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。


目次

視聴方法

Prime Video、U-NEXT、Lemino、TSUTAYA DISCASほか複数サービスで取り扱いあり(2026年8月時点)。見放題・レンタルの区分や最新状況は各サービスで要確認。

あらすじ

太古より、宇宙人(外星人)は囚人を人間の体の中に封じ込め、地球に隠してきた。現代・2022年、その囚人たちを監視し続けてきたアンドロイド、ガードとサンダーは脱獄した外星人を追う中で、人類の存亡を揺るがす陰謀に迫っていく。一方、高麗末期の1380年代、若き道士たちは謎の”神剣”をめぐって正体不明の敵と戦いを繰り広げる。630年以上の時を隔てた二つの物語は、やがて一つへと収束していく。

見どころ

時代も、ジャンルも超えていく構造

現代のSFアクションと14世紀の時代劇が、一本の映画の中で並走する。未来的な武器が飛び交うかと思えば、次の瞬間には道術を使った古風な戦いが始まる。時系列も1380年代と2010〜20年代を行き来しながら進み、それが単なる混乱ではなく、徐々に意味をもつ構造として収束していく。この「混じり合い方」が異常なほどよく計算されている。

チャウ・シンチーを感じさせるコメディとバトルの融合

道士たちによる戦いのシーンには、強烈な娯楽性がある。特殊な道具や道術を使った個性的な動きは、どこかチャウ・シンチー(香港映画界を代表するコメディアクション監督)の作品を彷彿とさせる軽妙さがあって、思わず笑顔になってしまう場面が何度もある。コメディとアクションを同居させながら、そのキャラクターへの感情移入を確実に仕込んでいく構成が巧み。

ラストが残すもの——「続き」への引力をネタバレなしで語る

複雑な世界観と多数のキャラクターを抱えながら、謎が謎のまま放置されない。現代に登場した人物がいつの間にか過去に現れたり、”神剣”の正体が意外な形でつながってきたり。時系列の「実はそうじゃなかった」という発見が訪れた瞬間、映画の面白さが何倍にもなる。そして終幕が近づいたとき、まだ全部が明かされていないのに、この世界観にすでに入り込んでしまっている自分がいる。PART1の結末は答えを与えない。与えない代わりに、続きを観ないでいられない引力を残す。その余韻が何を意味するのか、観た人それぞれが時系列を反芻しながら考え続けることになる。

制作背景

本作はチェ・ドンフン監督が構想に5年を費やした韓国SF作品で、前後編2部作の前編にあたる。撮影日数は387日に及び、韓国映画史に新たな金字塔を刻む規模の制作となった※1。撮影は2020年3月に開始し、前編と後編を同時並行で13か月かけて進め、2021年4月に終了した※2。前後編合計の制作費は約400億ウォンと推定されている※2。

監督・脚本・製作をチェ・ドンフン一人が担い、外星人によって囚人を人間の肉体の中に収監するという独自の世界観を600年以上の時空を超えた2部作で描いている。Varietyのインタビューで監督は「100%新しい物語などというものは存在しない。しかし、物語を新しい構造で語ることが映画監督の仕事だ。この映画では過去と現代の二つの世界が交わる——その交わり方のスリルをとにかく見せたかった」と語っている※3。撮影現場では現代パートのVFX処理に最も時間を要し、時代劇パートでは激しい雨季の中での撮影と歴史的に意味のあるロケ地探しに苦労したと明かしている※4。

美術監督はリュ・ソンヒとイ・ハジュンの2名が担当し、高麗時代パートをリュ・ソンヒ、現代パートをイ・ハジュンが受け持つという役割分担で制作が進められた※2。撮影はキム・テギョン、音楽はチャン・ヨンギュ、編集はシン・ミンギョンが担当している※5。

本作は第21回ニューヨーク・アジアン映画祭のクロージング作品として上映された※2。リュ・ジュンヨル、キム・ウビン、キム・テリ、ソ・ジソブ、ヨム・ジョンアといった韓国を代表する俳優陣が集結したキャスティングも本作の大きな特徴で※5、日本では配給会社クロックワークスが担当し、2026年2月13日より新宿バルト9ほか全国で公開された※1。

なお、チェ・ドンフン監督は過去作『チョン・ウチ』(2009)でも16世紀の魔術師が現代に転移するという類似した設定を扱っており※6、本作はその発展形として見ることもできる。

感想

何この映画、という第一声がいちばん正直だった。

観始めてしばらくは、情報量の多さに少し戸惑います。太古より外星人が囚人を人間の脳の中に封じ込めてきたという設定が冒頭から提示され、しかもそれが現代ではなく1380年という600年以上前の世界で説明される。アンドロイドのガードとサンダーが登場し、外星人の脱獄を監視しているという構図が提示された頃には、「これはどういう映画なのか」という問いが頭の中をぐるぐるしている。

でもそれが、じわじわと解けていく感覚が本当に気持ちいい。

時系列が1380年代→2012年→1391年→2022年と行き来しながら、それぞれの時代で別々の物語が同時に動いていく。現代では未来的なバトルが繰り広げられ、過去では道術を使った古風な戦いが描かれる。最初は切り離されているように見えた二つの世界が、少しずつ接続されていく。現代で出てきた人物が過去に現れ、過去で重要な意味を持つ”神剣”がまさかの形で登場する。そして、ある時点で「あっ、時系列で描いていると思っていたのに、そうじゃなかった」と気づく瞬間がある。そこで映画の面白さが一気に何倍にもなる。

印象として真っ先に浮かんだのが、チャウ・シンチー(香港を代表するコメディアクション監督)の映画でした。道士の二人組が特殊な道具や道術を使って戦うシーンには、あの軽妙な笑いとアクションが同居するあの感じが確かにある。その戦いの場に、時代感の合わないスーツ姿の男がふと立っていたりする。まるで映画のセットに一般人が迷い込んできたような異質な絵面で、これが妙にワクワクさせる。思わず笑顔になってしまうほど面白い、という表現がいちばん近い。

エイリアンの描写は『寄生獣』的な気味悪さがあり、町中に赤い空気が広がるハーバ(外星人の星の大気)の描写はゾクゾクさせるものがあった。韓国映画のCGとVFXはここ数年でかなりの水準に達しているが、特にロボットの戦闘描写には本物の迫力がある。それと同時に、道術を使った個性的な戦いの面白さも描ける。この両端をひとつの映画の中で共存させているのは、相当な設計力だと思う。

SF、ファンタジー、時代劇、アクション、ドラマ、コメディ——これだけ詰め込まれているのに、ごちゃごちゃした印象がない。その理由が、観ているうちに少しわかってくる。キャラクター全員にちゃんと輪郭があるから。コメディが機能しているから、感情移入できる。感情移入できるから、緊張感が生まれる。そしてロボットと人間が心を通わせていく過程があるから、別れが悲しく、次の展開に感情を乗せることができる。複雑な構造の中で、このバランス感覚を保てているのが見事だった。

強固な設定が裏にあるから、謎な展開でも惹かれてしまう、というのも正直な感触です。伏線がしっかりと張られ、それが徐々に回収されていく気持ちよさ。久々に「新しい映画を観た」という感覚があった。

続編を観ないでいられない終わり方、というのはやや定型的な褒め言葉に聞こえるかもしれないけれど、この映画に限っては本当にそうだった。まだ全部が明かされていないのに、すでにこの世界観に入り込んでしまっている。それがチェ・ドンフン監督の計算なのだとしたら、完全に乗せられている。

他の人の見方

映画.comをはじめ複数のレビューサービスに感想が集まっており、「映像も素晴らしい」「全部盛りだけど見応えがある」という評価がある一方、「PART1はとんでもない量の情報量で困惑する」という声もある※7。韓国の批評家の間でも評価は分かれており、チェ・ドンフン監督が新しいものを作り出そうとする姿勢を評価する声がある一方、多種多様な要素の混在による散漫さを指摘する批評もあった。

こんな人に

・SF・ファンタジー・時代劇・アクション・コメディが全部好きな人
・チャウ・シンチー的な笑いとアクションの融合が好きな人
・複雑な時系列構造の映画で「繋がった瞬間」の快感を味わいたい人
・リュ・ジュンヨル、キム・ウビンなど韓国俳優のファン
・韓国映画をあまり観たことがないけれど、エンタメとして気軽に楽しめる作品を探している人

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